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時の人 スポーツJ「時の人」は
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さまざまな角度から焦点をあてご紹介いたします。
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2008年1月1日号掲載
ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア
頭取兼最高経営責任者
田中 正明 氏
mr.tanaka

 

 

頭取兼最高経営責任者としてユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアを率いる田中正明氏は大の阪神タイガースファン。インタビューに伺った時に、裏地に「六甲おろし」の入った2003年の阪神優勝記念の特注背広を着ていたのには驚いた。冷静に複雑な世界経済の状況を分析する一方、元阪神タイガースの薮投手の限定版プリペイドカードを持っていることを誇らしげに語る。豪放磊落、頭脳明晰にして、なお稚気を残し、正に与謝野鉄幹が『人を恋ふる歌』でうたった「書を読みて、六分の侠気四分の熱」を持った「友」を彷彿とさせる。

PROFILE MASAAKI TANAKA
  「1977年東京大学法学部卒業、同年三菱銀行入行。ミシガン大学ロースクール留学を経て、LA・SF・NY在勤。その後、経営政策部長(持株会社)、営業第三部長、企画部長他を歴任。2004年執行役員、2007年5月よりユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア頭取(三菱東京UFJ銀行常務執行役員兼務)」
サブプライムローン問題のもつ意味

 まず、田中氏に年頭の挨拶を頂戴した。
「当行はここカリフォルニアに根を下ろして140年余の大変長い歴史を持っております。特に私どもは当地の日系社会に貢献するという使命を持った銀行であると自負しておりまして、2008年は貢献するための施策をさらに強化したいと考えております。新しい年も是非とも引き続きご愛顧頂きますようお願い申し上げます。」
  さて、2007年の金融、経済をふり返ったときに新しい年にも影響を及ぼす大きな問題はいわゆる「サブプライムローン問題」であることは言うを俟たないだろう。この問題についての田中氏の見解を伺った。
「この問題は当初は、ノンバンクに限られた問題と見られていました。ところが証券市場を通じ、東海岸や欧州の金融センターにまで問題が飛び火し、世界経済不安定化の要因にまでなったことは、正直、驚いています。昨今の金融機関は、金融工学の手法を駆使してリスク分散を図っていたのですが。」
  この問題解決のため、ブッシュ政権は、最大120万人の借り手を対象に、返済金利の5年間凍結を柱とする対策を発表した。この対策について、田中氏は「大事なステップ」と評価する一方、「問題の全体像が把握されマーケットが問題解決の確信を持つまでにはまだ時間がかかる」と慎重な見方をしている。
「今回の対策は日本がバブル崩壊後にやった対策にどこか似ているのです。初めは民間主導での解決が期待されますが、結局は、政府が相当程度腹を括り、公的資金を投入して問題の解決を図ることになるのではと思っています。」
  この問題に端を発したアメリカ経済の不安定化は、2008年も続いてゆくという見方が大勢を占めている。専門家の7割から8割が2008年前半アメリカ経済はリセッションに入るだろうと考えており、後半には回復に向かうと考えている専門家は5割程度と言われている。田中氏も「2008年は長期にわたるアメリカ経済の繁栄のターニングポイントになるでしょう」と見ている。「いわゆるアメリカンドリームを象徴するのは住宅だったわけです。ところが今回は、そのアメリカンドリームの基盤が壊れてしまったわけですから、回復には、それなりの時間がかかるだろうと思います。」

顧客との信頼関係のなかで

 ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアの2008年はどのような年になるのだろうか。
「私どもは大きな二つのテーマを前にしています。一つは申し上げたような金融市場の不安定化です。そしてもう一つはマネーロンダリングの問題です。同時多発テロ以来、アメリカ政府はテロ資金、犯罪資金の封じ込めに大変厳しい姿勢で臨んでおり、そうした資金の流れ解明のための規制が強化されています。そのため、銀行としても、お客様の口座開設や入出金に際して、さまざまなことをお尋ね申し上げることを要請されており、お客様には大変なご面倒をお掛けしております。銀行としての負担も並大抵のものではありませんが、テロとたたかうという米国政府の政策を支えていく観点から、避けられない対応となりますので、お客様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと思います。」
  特に第一点目の金融市場の不安定化という厳しい状況の中でユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアの持つ強みを田中氏は「安定性と顧客との強い信頼関係」だと言う。
「実は、当行は問題の発端となっているサブプライムローンを全く取り扱っておりませんし、サブプライブローンを内包した証券も保有しておりませんので、当行が影響を受けることはございません。そもそも当行は不良債権が非常に少なく、資産内容が極めて健全なのが特色なのです。また、安定性という点に関して言えば、当行の持ち株会社はニューヨークの証券取引所に上場している一方、その株式の3分の2は三菱東京UFJ銀行が保有しています。つまり、安定株主がいる一方、上場企業としての厳しい財務規律をもって経営されているということです。そして当行のもう一つの特色は、優良なお客様と、従業員に恵まれていることです。ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアのお客様の中には2代、3代に亘り、お取引頂いている先が多数おられる一方、従業員側も、勤続年数が長い。課長職クラスの平均勤続年数は20年を超えているんですよ。2008年は当行の強みである安定性の上に、お客様への商品やサービスを一層魅力的なものにしていきたいと思います。」
  自分のことをよく知っていてくれる従業員が対応してくれるという安心感が、末永い取引に結びついているということだろう。例えば、先日、南カリフォルニアを襲った森林火災の際に通帳などを焼失してしまった顧客にも素早く対応した。貸金庫の鍵を失ってしまった顧客に対しては、費用銀行負担で金庫をこじ開けることまでしたという。顧客をよく知るユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアならではの対応である。
百戦百勝不如一忍
 田中氏は金融の世界に入ったのは「偶然」だと語る。大学では法学部に学び、国家公務員試験にも合格したが、ビジネスで世界を相手に活躍することを夢見て三菱銀行(当時)に入行した。その背景には、幕末にあって世界への雄飛を視野にいれていた坂本龍馬への憧れがある。ちなみに三菱を興した岩崎弥太郎は坂本龍馬の海援隊の会計係を勤めていた。入行後も4年目でドイツに語学研修、6年目にはミシガン大学ロースクール留学するなど、「銀行で出世したかったら保守本流の国内業務に残るべき。海外に出るなんて」という声を尻目に国際派の道を貫いてきた。
  田中氏の坂本龍馬好みには氏の人生観が反映されている。龍馬は「死ぬ時はたとえ溝の中でも前のめりに死にたい」と語ったといわれているが、その姿勢を田中氏は共有している。「人間、死に臨んでそれまでの人生が凝縮されますから。最後は結局『自分』です。」そんな田中氏の座右の銘は天台宗の大僧正だった祖父が遺してくれた「百戦百勝不如一忍」。
  リーダーとして、刃は他人に振りかざすものではなく、己の心にそっと添えておくもののようだ。
 
スポーツ好きの田中氏は、NFLサンディエゴ・チャージャーズのオーナー家出身のCEO、ディーン・スパノス氏とも懇意の仲で、チャージャーズがプレーオフ進出を決めた12月16日のライオンズ戦、田中氏はサンディエゴのクァルカムスタジアムのフィールドに招待されていた。チャージャーズの背番号1はMASAAKI TANAKAだ。
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