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2006年12月1日号掲載
bushi-tei GM タック松葉 氏
bushi-tei GM タック松葉 氏
今、ベイエリアで話題のレストランといえばサンフランシスコ・ジャパンタウンの「bushi-tei」。
そのジェネラル・マネージャーのタック松葉氏にレストラン、そしてジャパンタウンへの熱い想いをうかがった。
PROFILE TAK MATSUBA

70年代より、日本の会社の役員として、日本料理店、水産工場、不動産、貿易(クラシックカー輸出、建材輸出、電子テスト機器輸入、カーペットクリーニングフランチャイズ開拓をアメリカよリ日本に、健康器具輪入)を管理してきた。
常にフードには興昧があリ、貿易業が主の頃は、出張した所で必ずユニークなレストランを探しては試みる。あまり堅苦しくない雰囲気でトップクラスの料理を味わえるレストラン、旅行者一人でも気軽に入って楽しめるレストランのを実現させるのが松葉氏の夢であり希望であった。
現在は「bushi-tel」が全て、と語る。

一枚の皿の上に世界を創造する
本当のフュージョン
タック・松葉氏のレストラン「bushi-tei」があの「ミシュラン・ガイド」で一つ星を獲得した。すでにベイエリアのグルメの間では周知のことだが、やはりまずその感想からお話をうかがった。
「ミシュランのスタッフたちは去年の11月くらいからサンフランシスコ地域の調査をしていたらしいのですが、この店のオーブンが11月15日でした。ですからこの店の存在すら知らないだろうと思っていました。というわけで、年が明け4月ころになるとこのあたりの一流レストランのオーナーやシェフの皆さんは大分ナーバスになっていたようなんですが、私は『ああ、そうですか』っていう感じで他人事だったんです。」
ガイドを片手に「あの店が一つ星、あそこはランクを落とした」と楽しむ読者は気楽でいいが、一流を自認するレストラン関係者にはミシュランの評価は相当なプレッシャーを与えるらしい。例えば、2003年にフランスの三つ星レストランのシェフが自殺しているが、その理由は別のガイドブックで評価を下げたために、ミシュランで三つ星を失うのではないかと思い悩んでの末だったと言われているそうだ。レストラン関係者が落ち着かないというのも頷ける。
しかし、ミシュランは「bushi-tei」を見逃してはいなかった。「5月にニューヨークにあるアメリカのヘッドクウォーターからメニューとシェフのバイオを送るように言ってきまして、『目は留めていてくれたんだ』と思ったのですが、7月にサンフランシスコ・クロニクルの批評家マイケル・バウアー氏から三つ星の評価を頂いたりして忙しかったものですから、また暫く気にしていなかったんです。それで8月も末になったので諦めていたところ、ミシュランのプレビュー・レセプションに招待されまして、『ああ、じゃあ星はなくてもガイドには載っているんだ。メンションだけでもしてもらえてるんならよかったね』とシェフと話していたんです。そうしたらフランスから一つ星だと連絡が入りまして、ビックリしました。」
ミシュランが評価の理由をレストランに説明することはないというが、松葉氏はどのような点が評価されたと考えているのだろうか。「シェフのインターナショナル・フュージョンというコンセプト、そしてそれを見た目ばかりでなく味でしっかりと表現している点が評価されたのではないかと思います。」 フュージョンというジャンルが料理として確立し、サンフランシスコだけでもそれを謳うレストランが数多くある中で「bushi-tei」のインターナショナル・フュージョンが他のフュージョンと一線を画する点は何なのだろうか。「フュージョンというコンセプトについてはいろんな考え方があるでしょう。その中で、うちは言葉の本来の意味でのフュージョンをお客様にお出ししているのです。つまり一つのお皿の上でフュージョンを作りだしているのです。うちの料理は見た目は決してジャパニーズではない。むしろべーシックなコンセプトはフレンチです。しかし、例えばソースにジャパニーズのエッセンスが利いていたりする。あるいは刺身。日本人だったら醤油とワサビが欲しくなるところですが、オイルやバルサミコで召し上がって頂いたり日本人が思ってもみなかった世界を作り出しているのです。しかもうちはそれを前菜からデザートまで一人のシェフが作り出している。その点もミシュランは評価してくれたんではないかと思います。」
つまり、「bushi-tei」のフュージョンは「本当のフュージョン」だというわけだ。先ほどのマイケル・バウアー氏はさすがに上手いことを言うもので、シェフの「ワカ」こと若林誠司氏が見たところ本質的に異なった要素を統一的な料理に仕上げるのを評して「orchestrateする」と述べている。多数の異なる楽器がそれぞれの旋律を奏でながら一つの交響曲が響くように若林氏は一枚の皿の上で音楽を奏でるということを言えようか。あるいは、一枚の皿の上に世界を創造すると言ってもいいかもしれない。実際、日本では「喜八」、ロサンジェルスでは「Spago」、そしてベイエリアでは「Ondine」でエグゼクティブ・シェフを務めた若林氏のシェフとしての哲学は、「こだわらないのがこだわり。自由な発想で料理に取り組む。」 そして「ひとつの皿に世界がある」だそうだ。世界の創造が神の業だとすると、この若林氏の料理は文字通り神技ということになろう。
我を捨てて
松葉氏にはまたサンフランシスコの日系人コミュニティーの中心的役割を担うというもう一つの顔がある。桜祭りなどのイベントや様々なコミュニティー活動への尽力もよく知られている。特にジャパンタウンが100年を迎えた節目の年にジャパンセンターの売却問題などが持ち上がり、ジャパンタウンを中心とした日系人コミュニティーの将来に明確なビジョンが持ちにくい現在、松葉氏の活躍が期待される。「1983年にこの場所に事務所を開き、商店会にも入り、役員も務めました。このあたりの日本人も少なくなり、ジャパンタウンが下火になっているのは残念ながら事実だと思います。だからこそみんなで力をあわせていかなければなりません。」
街が活性化するためにはまず何よりもそこに人々が集わなければならないだろう。それについて松葉氏はこう語る。「何しろジャパンセンターの存在を知らない人が多いんです。ゲイリー通りのほうからジャパンセンターを見て下さい。なんだか万里の長城のような防御壁の向こうにジャパンセンターがあるようでしょう。10年以上も毎日ゲイリーを通っているけど、あの壁の向こうにジャパンタウンがあるなんて知らなかったというアメリカ人はたくさんいますよ。何しろメイヤーだって知らなかったって言うんだから。」 些か失礼な言い方かも知れないが、確かに人がやって来るのを拒んでいるかのようにも見えてしまう。「そうでしょ。今はなんだかポストから入って行かないとジャパンタウンに行けないような感じですよね。ゲイリーのほうに窓を開き、ジャパンタウンのバリアを取り払う必要があるでしょう。」
さらに松葉氏には具体的な提言がある。「ジャパンセンターにはパーキングがあります。これは人を呼ぷには大きな強みだと思います。ところが、比較的早く閉められるところが多い。ジャパンタウンはウェッブサイトなどでどんなお店があるか情報を流しています。しかし、来てみたけれど閉まっていたではもう人は来なくなります。夜それほど遅い時間でもないのに人が歩かない街では商店街として人アピールする力に欠けてしまいます。もちろん閉める時間を遅くすればそれだけコストがかかります。だからこそみんなで何ができるか考えてゆかなければならないのです。」
このように語る松葉氏の「bushi-tei」自身がジャパンタウンの魅力の一つとして大きな期待が寄せられている。「レストランの方もまだまだこれからです。これからもっと頑張ってこれを安定させてゆきます。」 これまで様々なビジネスを手がけてきた松葉氏だが、当分は「bushi-tei」に力を尽くすという。その上で今後の展開についてうかがうと、稀有な才能をもつ若林氏というシェフをもっとプロモートしてゆきたいと語る。「第二、第三の店を展開するとしてもそれはbushi-teiと同じものにはならないでしょう。と言うか、同じものを展開することはできないでしょう。私はその店、bushi-teiならbushi-teiのユニークなイメージを大切にしたい。だから次に展開したら今度はスパニッシュがべーシックなコンセプトのフュージョンになるかもしれないし、イタリアンかもしれません。」
コミュニティーに確固とした地位を築き、レストランを開いては1年もたたずにミシュランの星を獲得する。成功の秘訣は何だろうか。「成功ですか。とんでもありません。自分はそのような者ではありませんよ。ただ、がむしゃらにやってきただけです」と松葉氏は言う。そんな氏に最後にモットーをうかがうと、「初心です」という答え。では氏の「初心」とは。「『オレがオレがの我を捨てて、お陰お陰のげで生きる』ってヤツですよ。」 なるほど、松葉氏の活躍の裏にジャパニーズのエッセンスが利いていた。まるでbushi-teiの料理のように。

bushi-tei
1638 Post Street, San Francisco CA 94115
(415)440-4959
www.bushi-tei.com
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1533 Bayshore Hwy, Burlingame, CA 94010Tel: (650) 552-9230Fax: (650) 552-9227Mail: info@sportsj-usa.com
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