数々のIT関連企業のスタートアップを手がけ、バーチャルCEOと言われるランディ・コミサー氏は「ビジネスは自己表現だ」と語っている。一時期メディアについて論じる人たちの間で「メディアはメッセージだ」という言葉が盛んに議論されたことがあったが、それをもじって言えば「ビジネスはメッセージだ」というわけだ。もちろんそれは宣伝という意味ではなく、ビジネスとは本来企業の性格、哲学そして志の実現だと言う意味である。その意味では石榑康利氏の「Kagome」も極めてメッセージ性の高い企業といえる。
「弊社では『ブランド価値経営』ということを言うんです。それは『自然を、おいしく、楽しく、Kagome』という私どものコーポレート・メッセージをお客様にお約束すること、そしてお客様から頂いた信頼にお応えしてお客様との絆を深めてゆくなかで企業として成長してゆくという意味です」と石榑氏は語る。つまり、ブランド価値とはブランドに込められたメッセージが企業の側の責任感と消費者の信頼に裏づけされて価値に高められているということだ。言い換えればブランドそのものが価値を実現しているということになる。
これは極めて重要かつ本質的なことだ。特にカゴメのように人の口に入るものを扱うビジネスにとって。「Kagomeのロゴとともに商品についているLive Trueというのは,
True to Natureつまり自然に忠実に真摯に、そしてお客様に対して忠実に真摯にという意味です。」少々失礼な申しようかもしれないが、実はそれは当たり前のことであったはずだ。しかし、残念なことにその「当たり前」のことが食費業界でもしばしば蔑ろにされ、消費者の信頼が裏切られるといった事件をしばしば聞く。「当たり前のこと」を堅持してゆくのが難しいい時代なのだろう。それだけにKagomeのブランド価値経営という方針は貴重であるし、またそれが実はビジネスの上でも正解だったということをKagomeの躍進が証明している。
Kagomeの真摯な姿勢からいえば、アメリカ進出は必然的な流れだったと言えるだろう。「当然のことながら、弊社は原料にこだわりをもっています。ここカリフォルニアのセントラルバレーは世界でも屈指のトマトの大産地です。実はトマトは紫外線に弱いんです。ところがご承知のようにカリフォルニアは大変紫外線が強い。そこでトマトは紫外線に耐えるためにリコピンという成分の作るんです。これがトマトの赤い色の元であると同時に、抗酸化作用を持っているのです。ですからトマトは赤い色が濃ければ濃いほどいい。だからカリフォルニアのトマトは品質が非常に高い。よい原料にダイレクトにすぐアクセスできればそれだけ原料のよさを生かした商品作りができるというわけです。」
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