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時の人 スポーツJ「時の人」は
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2006年10月27日号掲載
interesse international, inc.
社長 藤原昌人 氏
インテレッセ インターナショナル インク 社長 藤原昌人 氏
インテレッセ・インターナショナル・インク社長の藤原昌人氏は、世界を人材ビジネスのネットワークで包み込もうと多忙な毎日を送りながらも、グリークラブの一員としてカーネギーホールやヤンキーススタジアムに立つなど公私に大活躍である。
今回は藤原氏のビジネスの根本にあるものをお話のなかに探ってみた。
PROFILE MASATO FUJIWARA
1984年4月-1996年5月
株式会社テンポラリーセンター(現、株式会社パソナ)入社。
日本橋支店営業部配属をはじめとして、関東営業部神田第一チームリーダー、関西営業本部大阪第一課長を歴任。前後して、三回の海外赴任を経験 (西ドイツ現地法人Temporary Center Deutschland GmbHの責任者、ドイツIBMの日系ビジネスパートナー会社Continental Computer Systems GmbHの現地責任者、パソナ米国法人Pasona USA, Inc.のニューヨーク支店長)。

1995年6月1日
インテレッセ・インターナショナル・インクをニューヨークに設立。
現在はニューヨーク、ワシントンDC、シンシナティー、アトランタ、ヒューストン、サンディエゴ、オレンジカウンティー、ロサンゼルス、シリコンバレー、シアトルの全米10カ所に拠点と東京オフィスがある。
趣味は合唱団、ゴルフ、スキューバーダイビング、旅行、仕事と家族。
アルト・ハイデルベルグとニューヨーク
現在ニューヨークでグローバルな人材ビジネスを展開する藤原氏はドイツのハイデルベルグ大学で、数学、言語学や哲学を学んだ。生き馬の目を抜くようなのビジネスの中心地ニューヨークとヨーロッパの知的伝統を色濃く残すドイツの大学街。ビジネスと哲学。一見相容れないような要素が藤原氏の中で結合し、現在のインテレッセ躍進の背景となっている。
藤原氏はドイツでカントやヘーゲルなどドイツ哲学の巨人たちの著作に親しんだ。実際にカントやへーゲルが生きたのと同じ風土の中でその著作をひもとくことで藤原氏が自らの血肉としたことは、ヨーロッパの哲学の中に脈々の流れている自律と合理性の思想だ。「ニューヨークなんかは一目の温度差なんかも大きくて生活のリズムにもメリハリで出るんですが、特に北ヨーロッパなんかはいつ夜になったのか、いつ夜が明けたのかわからないんです。時間のリズムが緩慢で、しかもヨーロッパの自然は必ずしも人間に優しいものではない。そのような環境で生きてゆくためには、自分が自分に矩を与える必要があります。いわゆる自律ですね。まあ、カントが毎日同じ時間に散歩をするので、彼の姿を見てケーニヒスベルグの人たちが時計を合わせたというのは本当かなと思いますけど。ただ、自分を律するという思想には日本の武士道にも通じる精神性を感じますね。」
ヨーロッパから学んだ合理性はインテレッセの経営にも生かされている。経営の合理化とか合理的経営という言葉をきくと日本人には冷たい、非人間的な感じを受ける人があるかも知れない。しかし、藤原氏の合理性は人を生かす合理性だ。理性を表すドイツ語Vernunft(フェルヌンフト)と同根の動詞vernehmen(フェルネーメン)には「聴き取る、聞き分ける」という意味があるという。つまり合理とは人と人とのインタラクティブな関係のなかから生まれてくる判断の質のことだ。藤原氏はそれを「より深いところから考える」と表現する。それは具体的にはインテレッセのシステムには「ストラテジック・サポート・オフィス」の設置に現れている。通常であれば管理部門にあたるオフィスだが、藤原氏は「管理」よりも「支援」という言葉を使う。「営業にはベクトルがありますが、管理というものにはベクトルがないんです。常に動きの中にある営業のエネルギーをどこに振り向けてゆくかを念頭に置いて、全社を一つの流れにまとめてゆくのがストラテジック・サポート・オフィスの役割」だと藤原氏は語る。
ボーダーレス社会ということが言われてすでに久しく、国境を越えた人と情報の動きはますます活発化している。また、アメリカを取ってみても日系の企業の進出は東海岸、西海岸だけではなく、製造業を中心に中西部の広がっている。しかも、近年はテネシー州西部周辺への企業進出が進み、「西部テネシー経済圏」が出来上がりつつあるという。それにあわせてインテレッセは「システムの集中と分散」を進めている。ストラテジック・サポート・オフィスのもと、顧客の膝元に営業部門を設置し、顧客の二ーズに即応する効率的な経営を行なっている。そのためにはまず徹底的なコスト削減を図っている。例えば、オンラインタイムシートやインターネットによる面接システムの導入だ。「ペーパーベースで業務をすすめると人手が必要です。おまけに人為的ミスも発生し、ミスのリカバリーのためにまた人手がいる。ペーパーレスにすることで、人件費とミスを抑えることができます。面接にインターネットを活用すれば、企業側にも求職者側にもそして私どもにもコスト削減になります。結果、迅速で効率的かつリーズナブルなサービスの提供が可能になります。コンピユーターでできることはコンピューターをフルに活用に、人は人がやるべき仕事に集中すればいいんです。」
人がやるべき仕事。それは「判断業務だ」と藤原氏は言う。そして最終的な判断を任される藤原氏に生かされてくるのが、先ほどの自律と合理性だ。抽象的な思考と極めて具体的なビジネスを結びつけてあらたな世界を拓いてゆく。それを藤原氏はへーゲルの弁証法の用語を使ってAufheben(アゥフへーベン/古いものや規制のものを新しいものの中に生かすこと)と言う。
世界で活躍できる日本人のために
藤原氏のお話を伺って強く感銘を受けるのは、自分が生きて行くうえでの根本的な問題意識がビジネスに強く結びついているということだ。氏は「自分がどこから規定されているのか」を常に問い続けてきた。Raison D'etre(レゾン・デートル/存在理由)への問い。その答えを求めて藤原氏は自分を世界という空間と、歴史という時間の中に置いてみる。英語はもちろんのこと、ドイツ語も堪能でフランス語も学ばれた氏は、韓国語にもチャレンジしているが、それもこのような関心からきていることだ。そして和辻哲郎が言ったように「人間」が人と人の「間」を表すという意味で、自分を規定するものへの関心は人への関心、コミュニティー、社会への関心となる。
このような藤原氏がグローバルに人と人とのネットワークを築いてゆく人材ビジネスを手がけてゆくことは必然的な流れだったと言えるだろう。藤原氏は大手人材サービス会社に入社。ニューヨークの駐在員を務めた後、人材ビジネスが最も進んでいるアメリカで事業を極めようと独立した。ニューヨークで起業というと華やかな印象だが、藤原氏曰く「小汚い雑居ビルの一室からのスタートでした。」 以来今年で10周年。全米に10箇所、東京オフィスの計11箇所のオフィスを開設。今後、シカゴ、デトロイト、ナッシュビル、ホノルルそしてパリ、フランクフルトにオフィス開設を予定している。まさに世界制覇の勢いだ。
しかし、藤原氏は「この間、崩れそうになったことが2度程ありました」と語る。「はじめはスタッフ全員アメリカ人で始めました。それで改めて日本人である自分というものを意識させられました。ものの考え方の違いと言つてしまえばそれまでですが、スタッフに対するこちらの思い入れや期待とスタッフの会社や仕事に対する考えというものにズレが生じてしまったんですね。」 藤原氏はスタッフの意識の定着ということが企業経営にとっていかに重要であるか痛感した。管理ではなく、戦略支援という発想もその反省から生まれた。
今後、インテレッセは、中南米そして今ホットなアジア地域に拠点を展開し、グローバルネットワークの完成を目指すという。また、そうした空間的規模の拡大と同時にサービスの内容面でも新しい試みを始動させる。その一つが「【国際派新卒】紹介予定派遣プロジェクト」だ。これは、景気回復、いわゆる2007年問題、少子化などの日本の国内事情、アメリカのビザ発給状況などを背景に日本企業の現地法人が優秀な人材の確保することが困難になっている中で、長期的な観点から企業の人材確保をサポートするものである。これは企業に対しては低コストで優秀な人材を法的リスクなしに提供するものであり、求職者に対しては単なる場当たり的な就職活動ではなく効率的かつ安心な就職活動のプログラムを提供するとともに、人材としてのポテンシャルを高めるという画期的なプロジェクトである。(注)
「世界で活躍できる口本人に活躍の場を提供したいですね」と藤原氏は言う。「ただ、世界で活躍できるために日本人、あるいは日本がどのようにあらねばならないかという問題もあります。」日本では「国際化」という言葉のみが独り歩きし、その前提が問題とされることが少ない。藤原氏が親しんだカントによればコスモポリタン(世界市民)とはまず個人として自律した者のことだという。そして自らを律する者とは何ものにも囚われない自由な者のことだ。毎日「般若心経」を唱えるという藤原氏は、その中の「心無けい擬」という言葉を最も好むという。心にこだわりや囚われがないという意味だ。「日本が世界に向けて開かれてゆくにはまだ時間がかかるかもしれません。外からの力が加わらないとなかなか変わってゆかない国ですから」と司馬遼太郎を愛読し、坂本竜馬を尊敬するという藤原氏は語る。竜馬が幕末の目本に対してしたように、藤
原氏は人材ビジネスを通じて現代目本にアンチテーゼを突きつけているのかもしれない。
(注) 詳細はhttp://www.iiicareer.com/company/jp/ITH_preview.php 参照
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